岐阜市の川原町は、古き良き日本を感じられる場所で、伝統的な建築様式の町屋が立ち並んでいます。川原町を散策すると、石畳の道を歩きながら江戸時代から続く商家や工房などを見学することができ、地元の伝統工芸品や和雑貨を手に入れたり体験することもできます。毎年5月~10月には伝統漁法である鵜飼も見学することができ、岐阜市に行くなら欠かせない体験の一つです。
2024.07.09岐阜県岐阜市にある「川原町エリア」って何?
岐阜県岐阜市にある川原町は岐阜駅からほど近いところに位置する、古い町並みを残すコンパクトな観光スポットです。岐阜市と言えば、岐阜の伝統的な漁法である鵜飼を観覧することができることでも有名ですが、岐阜城を擁する金華山や川原町の古い町並み、長良川温泉を楽しめる旅館やホテルの数々、イベントの数々と、実は見どころが盛りだくさんでしっかり観光を楽しめる場所でもあります。
ここではそんな岐阜市にある川原町界隈の魅力について伝えたいと思います。名古屋から30分の距離でこんな素敵な観光場所があるんだなと知ってもらうことができたらうれしいです。
岐阜市を流れる清流長良川で伝統漁法「鵜飼」を観覧
鵜飼(うかい)っていったい何?
岐阜市には昔から「鵜飼(うかい)」と呼ばれる、特別な魚のとり方があります。鵜飼とは、鵜(う)という鳥を使って魚をとるという昔から伝わる伝統漁法です。鵜とは、大きな川に住んでいる鳥で、魚をとるのがとても上手であることから漁に使われるようになりました。なお、岐阜市では海に住んでいるウミウ(海鵜)を使っています。
鵜飼は基本的に夜に行われます。鵜匠(うしょう)と呼ばれる鵜を操る人が、鵜を連れて船に乗り、川に出ます。鵜を操る鵜匠が、火(かがり火)を使って魚をおびき寄せ、鵜が集まった魚をくちばしで獲っていきます。
この鵜飼という漁法は、なんと1300年以上も前から続いている古い伝統です。岐阜市の鵜飼は毎年5月から10月まで決まった期間内に見ることができます。全国には他にも鵜飼を行っている場所が11か所ありますが、なんと愛知県と岐阜県だけでそのうちの3つの鵜飼を見ることができます。
鵜飼観覧の受付がある事務所です。石畳でキレイに舗装され、道沿いには川原町が広がっていきます。川も目の前で気分も高まります。
2024年現在、岐阜市の鵜飼の鵜匠は全部で6名。明治時代から基本的には世襲制で代々受け継がれているのが鵜匠です。
鵜匠たちは5月から10月の鵜飼開催期間の内、全部で157日間、中には1日で2回鵜飼を行うこともあります。毎夜のように鵜匠たちは鵜飼に出て、その様子を観光客は船に乗って観覧することができるのです。
鵜飼は夜に行われるので、観覧できるのは当然夜になります。嬉しいことに鵜飼観覧船に乗りながら食事をとることもできるプランや持ち込みもできるプランもありますので、自分たちの希望に合わせてプランも決めるのが良いと思います。実際の鵜飼のことをもっと詳しく知りたいという方は下記の公式サイトをご覧ください。もちろん予約もこちらから行うことができます。
期間限定で遊覧船にも乗れる
鵜飼は基本的に夜に行われるのですが、実は昼には遊覧船に乗ることができます。 遊覧船は、長良川を遊覧しながら、国の重要文化的景観に選定された景色を楽しめるもので、鵜飼観覧船の乗り場から運航されています。
ただし注意が必要なのですが、昼の遊覧船は鵜飼シーズンには運航しておらず、期間限定で乗れる船となります。運航期間は3月末とGW期間あたりになりますので、次に乗れるのは2025年になってしまいますが、来年のタイミングを逃さずぜひ予約してみてください。
鵜飼観覧船「珠玉丸」です。テーブルスタイルで靴のまま楽に遊覧を楽しめます。他にも座敷スタイルの船もあるので詳しいプランは予約時に確認してみてください。
広々と開放的な船内の様子です。地上と比べると、長良川を通る心地よい風が涼しくとても気持ちが良いです。
清流長良川は水がきれいで美しく透き通っています。夜の鵜飼では見られない長良川の昼の姿を目の前で楽しめるのは最高です。
鵜飼待合所で休憩することも可能
こちらが鵜飼の時間まで待つことができる待合所になります。先ほどの鵜飼受付の目の前にあるので早く着きすぎてしまってもここで休憩しながら待ったり、川原町へ散策へ行ったりすることができます。
鵜飼の開催時期
岐阜市の鵜飼は毎年5月11日~10月15日の期間と決まっています。曜日に関わらずこの日程で毎年行われますので覚えやすいですね。
ただし、悪天候などで川が増水しているときなど、やむを得ず中止になることがありますのでよく事前に確認をするようにしてください。※花火大会開催日は貸切船のみの運航となります。
鵜飼を楽しむ前に、川原町で古い町並み散策を
川原町の魅力
鵜飼観覧船乗り場から続いている町並みは『川原町』と呼ばれていて、築100年を超える日本家屋が立ち並び趣のある景色が今も残っています。
川原町の石畳の道を散策するだけで、まるでタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。多くの町屋があり、そこではカフェやショップが営業しているので、地元の工芸品である和傘や提灯、さらには美味しい地元のグルメを楽しむことができます。もちろん旅館などの宿泊施設などもあり、コンパクトながら多くの見所があるもうれしいです。
和の雰囲気を感じられるまちなみが非日常を感じさせてくれます。
長良川デパート
川原町の中には「長良川デパート」と呼ばれる建物があります。
長良川デパートは「長良川の恵みを、つくり手の思いと共にお届けする」をコンセプトとして、店内では提灯、美濃和紙、衣類、木工、竹細工、刃物などの雑貨や工芸品から地酒、調味料、お菓子まで、長良川流域の幅広いたくさんの商品を取り揃えているので、ここに来るだけでまるで様々な場所に訪れたような感覚になります。
川原町で体験する「提灯の絵付け」
岐阜市には、美濃和紙や竹を用いて作られる「提灯」、「うちわ」、そして「和傘」が特産品として残っており、川原町にはこれを作る職人さんがいます。
観光でお土産に買うのはもちろんですが、そんな岐阜市の伝統的な品を作る工程に自分が携わる体験ができます。
例えば岐阜提灯の職人が丁寧に仕上げた無地の提灯に好きな絵を描く絵付け体験、そして傘を開いたときに小骨にぐるりと花のように広がる糸かがりを体験するなど、岐阜の伝統工芸に挑戦できます。
岐阜市は日本の二大提灯産地の一つで、和傘についても日本全国の7割近くの和傘を生産する日本最大の生産地です。
さて、こちらは岐阜提灯の絵付け体験に使う提灯です。最初は無地ですが、ここから好きなように絵や文字を書いて自分だけの特別な提灯を作り上げていきます。
完成したものがこちら。提灯は丸型のものと縦長のタイプから選ぶことができ、絵付けの仕方やデザインによって全く違うものが完成するので個性が出て面白いです。
また、岐阜提灯の絵付け体験は、絵が苦手な方やお子様でも十二分に楽しめます。いくつもの絵柄のサンプルが用意されているので書くものに困っても安心です。また、絵だけではなく文字を書くだけでも良いので自分の思うがままにデザインして体験することができます。
ちなみに、持ち帰るときは提灯を折りたたんでくれるのでコンパクトに持ち帰りが可能です。提灯の中に入れる光源もいっしょにいれてくれるので、帰ってからすぐに明かりをともすことができます。
和傘や提灯は体験することもできるわけですが、もちろん店舗内での購入も可能です。お気に入りの一点が見つかったのなら迷わず購入することをお勧めします。
川原町のおすすめカフェ「川原町屋」
岐阜長良川河畔に佇む町屋造りのカフェ「川原町屋」。川原町の散策に疲れたり、鵜飼までの待ち時間がある場合に寄ってみてはいかがでしょうか。
建物は岐阜市重要指定文化財となっていて、築150年ほどだそうです。
店内はカフェだけでなく、長良川の文化から生まれた「水うちわ」(伝統工芸品)や和紙製品雑貨等、展示販売しています。建物を見るだけでも十分楽しめる空間になっています。
下の写真では見えませんが、カフェの2階席からは岐阜市のシンボルである「金華山」や「岐阜城」も見ることができますよ。
ちなみに、金華山の名前の由来は岐阜市の木でもある「ツブラジイ」が初夏頃に満開を迎え、その様子が山を黄金色に染めたように見えることからつけられたそうです。
川原町屋の人気おすすめメニューである「オムライスセット」。ふわふわとろとろの卵とトマトソースが絡んでとてもおいしいです。オムライスの中は特製ジンジャーライスになっています。セットだとミニパフェが付いてくるのもうれしいポイント。
メニューは多彩で、天然鮎のなれ寿司ペーストと魚醬を使用した特製カレーや川原町屋オリジナルピザなども楽しめるので、その日の気分で選んでみてください。
名古屋駅からの岐阜市へのアクセス方法
名古屋から岐阜市に向かう場合、高速バスや自動車でも行けますが、混雑なく早く行くことができる鉄道の利用をお勧めします。所要時間等も紹介するので是非参考にしてみてください。
鉄道:JR東海道線or名古屋鉄道でどちらも直通30分以内!
岐阜市は実は名古屋駅からのアクセスが良く、思っている以上に早く行くことができます。JR東海道線であれば約20分、名古屋鉄道を利用の場合も約30分と、名古屋を出たらあっという間に到着できるのは嬉しいですね。
岐阜駅に到着後の川原町のエリアまでは、どちらの鉄道を使ってもバス移動が良いです。
JR利用時:JR岐阜駅(11・12・13番バス乗り場)
名古屋鉄道利用時:名鉄岐阜駅(4番乗り場)
どちらも同じバスで、N系統及び市内ループ左回りバス乗車して約15分です。
「長良橋」というバス停で降りるのが一番観光には良いでしょう。
いかがでしょうか。
岐阜市の川原町界隈では、岐阜の伝統を深く知り体験できる場所がいくつもあります。紹介しきれませんでしたが、川原町では「着物のレンタル」も行っていますので、着物を身にまとって昔ながらの川原町を歩いてみるのはいかがでしょう。
ちなみに岐阜県の他の場所で歴史や自然を楽しめる場所をもっと知りたい!という方はこちらの記事もご覧ください。
-
2024.08.23 |自然・四季,歴史,祭り,ホテル